公立中学→公立高校受験→難関大学受験

 中学受験をせずに、地元の公立中学を経て、公立高校を受験し、難関大学を受験するというパターンは、一番コストパフォーマンスの高い進学パターンといえます。

 ただし、何も対策を立てないで、漫然とパターンに乗ってしまうと、思わぬ「落とし穴」が待っています。


(1)中高一貫進学校 1年先取りプログラム

 思わぬ「落とし穴」の第一は、「中学受験組」の動向です。

 「公立中学→公立高校受験」という競争の土俵の中で、忘れがちになるのが、「中学受験組」の存在なのです。

 中学受験を避け、当面は「中学受験組」との競争を回避したとしても、6年後の大学入試の場面では、最強のライバルとして立ちはだかってくるのが、この「中学受験組」の強者(つわもの)たちなのです。

 彼らの強さの源泉はどこにあるのでしょうか?


 二つあります。

 一つには、12歳の春の段階での「中学入試」という選抜の過程を通じて、もともと優秀な生徒の比率が高くなっている、ということもあるかもしれません。ただ、この点だけであれば、「中学受験」を行わなかった優秀な生徒もまた一定の比率で公立中学に存在する訳であって、決定的な原因にはならないはずです。

 もう一つの原因、そして決定的な原因は、中高一貫進学校でのカリキュラムにあります。すなわち、中高一貫進学校では、1年先取りプログラムが行われていて、例えば数学を例に挙げると、理系でも数Ⅲを高2で終了させ、高3の約1年間は演習ばかりを繰り返すことができるという点にあります。文系であれば、高1までで数ⅡBは終了し、あとの2年間は演習を行うことができるのです。


 そこで、「中学受験組」と互角に戦うには、「1年先取りプログラム」に対抗できるカリキュラムで臨む必要があります。Ringでは、「3年先取り学習法」を提唱しています。すなわち、小4~小6の3年間で、中1~中3の内容を先取りして学習してしまう方法です。

 この学習法によれば、中1、中2では、数ⅠA、数ⅡBを終えることになり、文系志望者であれば、大学受験に必要な数学の範囲の学習を一通りは終えることができます。理系志望者であれば、中3で数Ⅲをひとまず学習するという路線と、高校受験に備えて1年先送りにして、高校入試対策に専念するという路線とが考えられます。

 いずれにせよ、高校入試が終了した時点で、「中学受験組」をリードできる進度を確保しておけば、その後の大学入試でも、「中学受験組」と互角の戦いを進められる基盤を確保できたものといえるでしょう。



(2)公立中学での内申点対策

 思わぬ「落とし穴」の第二は、内申点のカウントの開始時期です。

 周知の通り、公立高校の入学試験は、内申点(調査書)と学力検査とで決まります。内申点の評価対象となる学年については、都道府県によって大きく異なり、「中3のみ」としている場合(東京都、兵庫県)や「中2と中3」(神奈川県、奈良県)としている場合もありますが、京都府や大阪府(改正後)、滋賀県の場合は、「中1から中3」となっているので注意が必要です。


 すなわち、「中1から中3」となっている京都府等の場合には、小学校を卒業して、中学に入学して間もない5月~6月の最初の定期試験から内申点の評価対象としてカウントが開始されるという事実を、明確に認識しておかなければなりません。


 そして、多くの中学校では、各学期の成績は、それまでの学期の成績との「平均」で算定するため、例えば、「4」の評定を取りたい場合には、いったん「3」の評定をとってしまうと、次の学期では「4」相当の成績では足りず、「5」相当の成績を取らないと、「平均で4」の評定が取れないことになります。

 そのため、学年最初の定期試験は、相当に重視しなければならないということが言えます。

 したがって、高い内申点を必要とする高校への進学を志望する場合には、中学入学当初からの内申点対策が必要不可欠になって参ります。

 中学入学後は、多くの中学生が部活動で、大きな時間的制約を受けるようになる現状を考えると、「3年先取り学習法」は、公立中学での内申点対策としても大きな効果を挙げ得る勉強方法だといえるでしょう。